嫌な記憶ほど、脳内に残ったりしませんか？

過去の嫌な記憶を思い出して自分を責めたり、

人の嫌なところをみて不信感を覚えたり、

辛い記憶はいつまでも鮮明に残り続けるのか。

実は、この嫌な記憶がずっと残るのには脳の仕組みからできているんです。

災害や事故などから身を守るために敢えて、ネガティブな情報を記憶に残す

脳の特性として、人類の進化の過程で、災害や事故などから身を守るために、防御としての役割を果たすためにネガティブな情報ほど長期的に記憶に焼き付けるということをしてきました。

たとえば、天敵から身を守るためには、天敵が怖いという情報がずっと残っていなければ食べられてしまう危険性があったんですね。

こうした防御の仕組みとして嫌な記憶、つまりはネガティブな情報ほど長く記憶に残すことを「

つまり、これは人間の防衛反応だったわけですが・・・

ネガティブな情報を抱えることのリスク

ネガティブな情報を記憶として残しておくことは以下のデメリットがあります。

脳の情報を一時的に記憶・処理する

ワーキングメモリの働きが低下、集中力の低下

ジョージタウン大学教授のクリスティーン・ポラス氏によると、

ネガティブな情報に陥ると、ワーキングメモリが低下してしまい、日常のタスクや処理パフォーマンスに影響が与えられる

誰かに対して怒りや妬み、恐れ、不安といったネガティブな感情を持つと、「ストレス物質」であるコルチゾールという物質が分泌され、記憶の重要回路である「海馬」が委縮して記憶しづらくなってしまうことなども記憶力しづらくなってしまう

記憶力までも低下しちゃうんですよね…。

ジュネーブ大学のエミリー・チャオ＝タセリ氏によるグループが行なった研究では、ネガティブな感情を抱いている被験者に、痛みで苦しむ他者の動画を見せたところ、被験者の脳では痛みをつかさどる「島皮質前部」と「中帯状皮質」が活性化しなかったことが判明しました。

つまりは、ネガティブな気持ちになると自分の注意がそちらに向いて、

またこれらのことで、勉強が捗らなかったり、仕事に支障が出てきたりします。

さらに悪いことに、ネガティブなことを繰り返し思い出し、くよくよと考え続けることを「

」というのですが、この状態が続くことにより、

うつ病や不安障害などの様々な精神疾患を引き起こすリスクが起こりうる

では、どうしたら、こうした情報に振り回されずに過ごせるかということについてお話していきましょう。

ポジティブな気持ちを活性化させる

ネガティブな記憶は、ワーキングメモリが妨げられるということをお話ししました。

しかし、ポジティブな記憶を活性化させると、「ベーターエンドルフィン」や「ドーパミン」「オキシトシン」などの脳内物質が分泌されます。

これらの脳内物質は「多幸感」をもたらし、自律神経を整えたり、脳を活性化させることができ

認知機能（集中力の向上や記憶力の向上）にも影響を与える

誰かのために、幸せになってほしいと思う人ほど、自分の脳にいい影響を及ぼすことが知られています。

見返りを求めず誰かが喜んでほしいと思う気持ちそのものは、自身の幸福や健康につながる

脳科学者の岩崎一郎氏によると、セントラルフロリダ大学の研究で、他人を助けようとする利他的な傾向の人の脳では「報酬系」と呼ばれる部位が活発化し、

多幸感をもたらす「ドーパミン」という物質が発生しやすくなる

ドーパミンだけでなくオキシトシンも放出されるみたいです！

他者へ感謝すると脳の複数の領域が活発化する

という、ヨンセ大学の研究も紹介しています。脳内でハブ的な役割をもち、脳全体を活性化させ

幸せな感情をもたらす「島皮質」という部位を鍛える

幸せとは何かということについて深く考えさせられますね。

実は、マインドフルネスに関しては、

脳の機能と構造を変化させ、不安やうつ、ストレスの減少に効果がある

ということを早稲田大学教授で日本マインドフルネス学会理事長の越川房子氏から研究で分かっていることが示唆されてます。

たとえば、マインドフルネスでいう呼吸瞑想に関しては、自分の呼吸に注意を向けることで、自分の意識をコントロールします。

自然の中を散歩するだけでも、効果が得られるということは研究で分かっています。

2015年のスタンフォード大学での研究（注3）によると自然環境と都市環境で90分間散歩した結果、自然環境での散歩は都市環境での散歩と比べて反芻思考の回数が減少するという結果が出ています。

森林浴にも効果があるということがわかりますね。

また反芻思考の研究ではありませんが、2019年のミシガン大学の研究（注4）では、自然の中（ガーデニング、庭仕事、裏庭で静かに座っているだけでも）でわずか20分を過ごすだけでストレスホルモンレベルを大幅に下げうることが報告されています。

ストレスコーピング（ストレス対処）にも使えるんですね。

今回は、ネガティブな情報ほど、脳の記憶に残りやすい「ネガティブティバイアンス」について今回ご紹介しました。

脳の仕組みって実に不思議だなぁと思いました。

ちなみに、マインドフルネスの詳しい実践方法についてはまた別の記事にてご紹介したいと思います。

ポジティブな気持ち、ネガティブな気持ちが記憶力を左右する

あなたの自信を下げる 「マイナスの思い込み」をなくそう

脳はなぜ、ポジティブなことよりネガティブなことを記憶に残しやすいのかを解説していきます。

脳はポジティブなことよりネガティブなことをより記憶に残しやすい